
本サマリーにおける「ソーシャルメディアマーケティング市場」とは、企業(広告主)が日本国内において、自社製品・サービスを対象にソーシャルメディアマーケティングを実施することを目的として支払う費用の年間(1〜12月)総額を指す。本市場は、①インフルエンサーマーケティング、②SNSアカウント運用支援、③キャンペーンプランニング・コンサルティング、④分析ツール、⑤ソーシャルメディア広告の各カテゴリで構成され、①の内訳として縦型ショート動画向け需要を含む。
各カテゴリの定義は次のとおりである。インフルエンサーマーケティングは、PR活動であることをあらかじめ明示した製品・サービスの情報発信に対して支払われる費用を対象とする。アカウント運用支援は、法人が販売促進・顧客育成を目的に開設したアカウントの運用支援に支払われる費用を対象とする。分析ツールは、ソーシャルリスニングや効果測定ツール等に支払われる費用を対象とし、監視専門ツールは含まない。ソーシャルメディア広告には、YouTube、Facebook/Instagram、LINE、X(旧Twitter)、TikTok等で提供される広告が含まれ、ブログサイトの広告は対象外とする。
ソーシャルメディアは、今や個人や企業が自由に情報を発信し、つながり、コミュニケーションを図る生活インフラとして定着している。同時に、企業や個人が商品・サービス・コンテンツを売買する場としても日々発展を続けており、企業が経済活動を行ううえで魅力的なマーケティングチャネルとして拡大してきた。こうした背景のもと、ソーシャルメディアを活用したマーケティング活動は企業にとって不可欠なものとなり、その投資額は年々大きく増加している。
ソーシャルメディアの利用は世代や地域を超えて広がっており、企業が幅広い消費者層と接点を持つうえでの基盤となっている。各SNSプラットフォームは、AIをはじめとする先端技術を駆使して、広告主とユーザーを最適なタイミング・組み合わせ・フォーマットで結びつけ、ユーザーの消費行動を促進している。加えて、近年は表現力豊かなクリエイティブフォーマットの登場と、Eコマースとの連携による購買導線の強化が進んだことで、ソーシャルメディアは企業にとって魅力的な販売チャネルとしても注目を集めている。これらの要因が重なり、広告主によるソーシャルメディアへの投資は今後も継続的に増加することが見込まれる。

サイバー・バズ/デジタルインファクトの共同調査によれば、2024年の国内ソーシャルメディアマーケティング市場規模は1兆2,038億円、前年比113%となる見通しである。

カテゴリ別の内訳をみると、ソーシャルメディア広告が1兆727億円(構成比89.1%、前年比113%)と市場の大半を占めており、既にインターネット広告向け需要の多くを占めるに至っている。

これに次いで、インフルエンサーマーケティングが860億円(同7.1%、前年比116%)、SNSアカウント運用支援が283億円(同2.4%)、キャンペーンプランニング・コンサルティングが102億円(同0.8%)、分析ツールが66億円(同0.5%)と続く。

とりわけ、インフルエンサーマーケティングの内訳である縦型ショート動画向け需要は246億円(前年比137%)と、全カテゴリの中で最も高い成長率を示している点が特徴である。なお、SNSアカウント運用支援・キャンペーンプランニング・コンサルティング・分析ツールの3カテゴリ合計では451億円(前年比110%)となっている。

直近の最大の潮流は、縦型ショート動画の急速な拡大である。TikTokの人気を皮切りに、Instagram、YouTube、LINEなど主要なソーシャルメディアで縦型動画フォーマットの提供が始まり、制作環境の整備も進んだ。これに伴い、各プラットフォームでショート動画に特化したインフルエンサーの活躍が目立ち、広告主のニーズに応える縦型動画クリエイティブの制作案件が増加している。また、縦型ショート動画の普及とともに新たなインフルエンサーが次々と登場し、企業は自社の商品・サービスの魅力を消費者に届ける新しい表現手段を獲得している。縦型ショート動画は若年層から中高年層まで視聴層を広げており、今後も視聴層の拡大と視聴時間の増加が予想される。
第二の潮流は、フルファネルでの活用の浸透である。動画による認知促進から購買に至るまで、インフルエンサーが制作するコンテンツが広告クリエイティブとしても用いられ、広告主のマーケティング活動において果たす役割と価値が高まっている。第三に、AIを活用した配信最適化やEコマースとの連携による購買導線の強化が進み、ソーシャルメディアは「認知」の場にとどまらず「販売」チャネルとしての性格を一層強めている。
成長を続ける一方で、成熟しつつあるカテゴリには固有の課題が顕在化している。SNSアカウント運用支援は、広告主による新規参入が一巡し、SNS普及期にみられた高成長の段階を過ぎつつある。支援事業者へ運用を委託する広告主と、インハウス化を進める広告主との二極化が進み、成長は緩やかになりつつある。
分析ツールにおいては、大手SNSプラットフォームによるAPI接続の有料化を背景に、一部でサービスの撤退や提供価格の高騰がみられており、事業環境の変化への対応が求められている。効果測定の面では、プラットフォームごとに指標やデータ取得の条件が異なり、横断的な評価の難しさも課題として残る。また、市場全体としては、広告効果の可視化や測定基準の整備、ステルスマーケティング規制をはじめとする健全な運用ルールへの対応など、信頼性を担保するための継続的な取り組みが不可欠である。
サイバー・バズ/デジタルインファクトの予測によれば、2029年の国内ソーシャルメディアマーケティング市場規模は、2024年比約1.8倍となる2兆1,313億円に達する見通しである。カテゴリ別では、ソーシャルメディア広告が1兆8,978億円(2024年比約1.8倍)へと拡大し、インターネット広告市場全体のトレンドを左右する規模へとさらに成長する。
インフルエンサーマーケティングは1,645億円(同約1.9倍)に拡大し、うち縦型ショート動画向け需要は636億円(同約2.6倍)と全カテゴリの中で最も高い伸びが予測される。SNSアカウント運用支援・キャンペーンプランニング・コンサルティング・分析ツールの合計は690億円(同約1.5倍)と、堅調な推移が見込まれる。AIの活用やEコマースとの連携が一層深化するなかで、ソーシャルメディアは製品・サービスの認知から購買までを担う基幹チャネルとして、今後も持続的な成長を続けると考えられる。
出典:サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ(2024年国内ソーシャルメディアマーケティング市場動向調査)